スポーツジム・スポーツクラブにおけるスタッフマネジメントの重要性と具体的な施策

スポーツジムやスポーツクラブの運営において、スタッフの質はサービスの質、ひいては顧客満足度や収益に直結します。
今回は、スポーツビジネスコンサルタントの視点から、スタッフマネジメントで特に意識すべき点と、具体的な施策について解説していきたいと思います。

なぜスタッフマネジメントが重要なのか?

スタッフマネジメントがどうして重要になるかという理由は様々なものがあると思いますが、大きく見れば、私は以下の4点に集約することができると思っています。

・顧客満足度向上:スタッフの対応一つ一つが、顧客の印象を大きく左右してしまうから。
・サービス品質の向上:スタッフのスキルアップは、サービスの質の向上に繋がります。
・従業員満足度の向上:スタッフが働きやすい環境づくりは、定着率向上に繋がります。
・企業イメージの向上:スタッフの行動は、企業のイメージを大きく左右します。

これらがスタッフマネジメントが重要視される理由となります。

スタッフマネジメントで意識すべき点

では、実際にスタッフをマネジメント行う際に意識すべき点は、どういったことになるのでしょうか?

➀ ビジョンの共有

企業理念やビジョンを明確にする
スタッフ一人ひとりが、なぜこの仕事をしているのか、何を目指しているのかを理解できるようにします。これが、実は現場では軽視されがちなんですね。
「現場では、あまり関係ないよな・・・」とか「理念とか知ってても、実際のトレーニングには何も影響しないよな」といった感じで『知らなくてもいいや』と思いがちのスタッフも多いです。もし、あなたの会社の店舗マネージャー等を現場スタッフの中から昇進させているのなら、このような考え方の持ち主が現場を取り仕切るようになり、ますます理念やビジョンが浸透しないジムやクラブになってしまいます。そうなると、店舗によって提供するサービスの質や店舗の雰囲気といったものがバラバラになってしまい、統制しづらい組織になりますし、また、スタッフの評価基準も難しくなってきます。
会社として理念やビジョンといった「目指す姿」をスタッフにも共有するということは非常に大事なことになります。

目標設定
個人目標とチーム目標を設定し、定期的に進捗状況を確認します。
できれば、個人目標もチーム目標も、スタッフ自身に決めさせることがいいです。
そして、スタッフが決めた目標を上司と確認し合って(時には修正もします)、それを目標として設定します。
「上司から決められた目標」とするのではなく、「自分で決めた目標」とさせるのがポイントです。自分自身が決めたコミットですから、未達の場合は言い訳できないので、「本気」にさせることができます。

②育成と教育

・OJT(On the Job Training)の実施
経験豊富なスタッフが、新人スタッフに直接指導します。

OFF-JT(Off the Job Training)の実施
外部研修や社内研修を通じて、専門知識やスキルを習得させます。

キャリアパス設計
スタッフのキャリアアップを支援し、モチベーションを維持します。
例えば、入社時からキャリアパスを提示し、目標に向かって努力できる環境を作るなどがあげられます(トレーナー、インストラクター、マネージャーなど、様々なキャリアパスを提示する)。

③ 評価制度の構築

客観的な評価基準
数と質の両方を評価できるような、客観的な評価基準を設定します。
これを実現するためには、前提としての目標設定の際に、しっかりと上司が目標を確認しておく必要があります。
目標設定の段階で、定量的なものと定性的なものを目標として掲げさせて、定量的目標なら、この数値をこれくらいクリアすればこのような評価になる、定性的目標に対しても、こういうことができていればこれくらいの評価がされる、といったような基準を設けておかなければなりません。

よくありがちですが、「上司の気分次第で評価する」というようなことばかりだと、正当性に欠けるので、スタッフからの納得感もなくなり不満がたまることにも繋がります。

では、数字だけを上げればいいのか?というとそうではなく、定性的目標も設定させるのがポイントです。定性的目標というのは、ジム内の美化やスタッフが働きやすい環境づくりを実現するということなど、数値では表すことができない目標なので、それも評価項目に入れればバランスを取りやすくなります。例えば、新人はまだまだセールススキルがないので、数字を伸ばすのは難しいから、定性的目標を多めに設定するなどして、その人のレベルに合わせた目標設定がしやすくなります。

フィードバック
定期的に面談を行い、個々の強みや弱みを共有し、改善点を提示します。
これをサボりがちな会社、現場は多々あるので、あなたも注意しておいて下さい。
これが行われなければ設定した目標や評価基準も絵に描いた餅に終わってしまいます。

報奨制度
目標達成や貢献度に応じた報奨制度を設け、モチベーションを向上させます。
財務の状況もあるので一概には言えませんが、金銭報酬の基準も明確にしておく方が、納得感や頑張ろうとするモチベーションにも繋がりやすくなります。
例えば、「2期連続で評価◎5つ以上で、ランクがアップする」などです。

④ コミュニケーションの活性化

定期的なミーティング
チーム全体のコミュニケーションを活性化させ、問題点を共有し解決策を検討します。

意見交換の場
スタッフの意見を積極的に聞き、組織全体の活性化を図ります。

オープンな職場環境づくり
上司と部下、同僚同士が気軽に意見交換できるような雰囲気作りが大切です。

⑤ 働きやすい環境づくり

最近は、この項目が重要だと思います。金銭報酬よりも、むしろこちらを重視する若手職員は多いです。「まず第一に働きやすさ」を求めている人が多く、その後に仕事内容や金銭などがくるので、こちらをしっかりと整えることは今後ますます重要視される…というより、このようなことは備えられているのが前提となってくると思うので、ここが整っていない会社は働く場所として、そもそも選ばれないと思います。

労働環境の改善
安全で快適な職場環境を提供します。

ワークライフバランス
プライベートの時間も大切にできるような働き方を実現します。

健康管理
健康診断の実施や健康相談窓口の設置など、社員の健康をサポートします。

まとめ

スタッフマネジメントは、スポーツジムやスポーツクラブの成功に不可欠な要素です。なぜなら、スポーツジム・スポーツクラブは、スタッフが直接顧客と対応することが非常に多いので、スタッフの質が成功に大きく影響するからです。
それだけに、効果的なスタッフマネジメントを行うことができれば、従業員満足度向上、顧客満足度向上、ひいては業績向上に繋げることができます。

今回紹介した施策を参考に、自社の状況に合わせて最適なマネジメント手法を構築していってくださいね!

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