スモールプロスポーツクラブ経営シリーズ①:「地方のスモールプロスポーツクラブこそ戦略が必須!」~練りに練った戦略の下で、活動していますか?~
前回は、いつもの記事と違って、私の応援する「高知ユナイテッドSC」の状況について書かせてもらいました。何としてもJリーグ昇格を達成してほしい…。
そのためには、入会規定である、「ホームゲーム平均観客動員2000人」と「入場料収入1000万円」をクリアする必要がありますが、ギリギリの戦いが続いています。何としても条件をクリアしてほしいと思っているのですが、高知ユナイテッドだけではなく、地方のプロスポーツクラブは、いずれも「観客動員」には頭を悩ませていると思います。都心に比べると人口も少なく、スタジアムへのアクセスも決して良くはない…そんな中でも観客を増やさなければならない…。大変だ…。そう思ったあなたにこそ、今回の話は是非読んでほしいと思います。
地方をホームにするプロチームとかだと観客を大勢集めるのは難しいよね…。
やっぱりあなたもそう思いましたか?
違います!地方でも大丈夫です!
地方でも、「勝てる見込みのある戦略」を練りに練った上で、活動していけば集客も大きく伸ばせます!というより、あなたが、集客を伸ばす確率の高い戦略を考えに考え抜けるか?
これにかかっています!!
そして、その「勝てる確率の高い戦略」の下で、実際の集客活動は行われなければならないんです!
だから、スモールプロスポーツクラブの経営陣は、本当に考えに考え抜いて戦略を立てる必要があるんです。間違っても、戦略をすっ飛ばすなんてことはやめて下さいね!
ただ現実は、戦略をすっ飛ばして、考えやすい具体的な方法論や手段(戦術)から考える人やクラブが本当に多いんです…これには、いつも驚かされます。そりゃ、目的達成できないよ…いつもそう思ってしまいます。
ここまでのお話で、戦略を設定するのが重要なんだなというのは、あなたも何となく感じ取ってくれているのではないかと思いますが、そもそも、なぜ戦略が大事か分かりますか??
というよりも、まず、戦略って何なんでしょうか?
ビジネスにおける戦略っていうのは、
「何か達成したい目的を叶えるために、自分の持っている様々な経営資源(お金や人員)を何に集中させるのかを選ぶこと」です。
一言でいえば、「経営資源をどのように配分するかの選択」といえます。
では、なぜ「戦略(=経営資源を配分する選択)」が必要とされるんでしょうか?
私が考える、戦略が必要とされる理由というのは、この2つがあります。
1.達成すべき目的があるから
2.資源は常に不足しているから
逆に言えば、もし達成すべき目的がないのなら戦略なんか必要ないですし、資源も無限にあって使いたい放題なら戦略は必要ないんですね。
ただ、現実は達成したいと考えている目的に対して資源は常に足りていないんですね。
これは、別に会社の大小は関係ありません。
どんなビッグクラブであっても資源は常に不足していますし、地方のスモールプロスポーツクラブなら、もっと切実ですよね。
このように経営資源が常に足りない中でも目的を達成するためには、限られた貴重な経営資源をどれだけ無駄なく有効に使うか…ということを考えまくることが必要になってきます。そして、考えに考えまくって「選ぶ」んです。選ぶことで足りない状況を足りるようにする。この選択こそ戦略なんです。
ですので、この経営資源は「選んで」「どこに集中させるか」ということが本当に重要になります。
この選択と集中が勝敗を決めると言っても過言ではありません。
まだピンと来ていないあなたのために、戦いにおける「選択と集中」がいかに重要かということを、説明しますね。
例えば、1000人の部隊と800人の部隊が戦うことになったとしましょう。一人一人の戦闘能力は同じだと仮定すれば、単純にこのままぶつかり合えば、1000人部隊の勝利に終わると思いますが、実際の戦いではそうなるとも限らないんですね。
例えば、1000人の部隊が200人ずつの5つの隊に編成して5か所から攻め込んできたとします。それに対して、800人の部隊が300人の隊を1つ、250人の隊を2つという形に編成して迎え撃つとどうなるでしょうか?1000人部隊が作り出した5つの隊(局面)に対し、800人部隊は3つの隊(局面)しか作り出せていないので、2つの局面では200人対0人となり、1000人部隊が勝ちますが…残りの3つの局面はどうでしょうか??実は、この3つの局面では300人対200人、250人対200人、250人対200人ということで、すべて800人隊が勝利を収めることができるんですね。結果は、大局的に見れば、800人隊が3勝2敗で勝ち越すことができるんです。
数的有利な状況は、必ずしも大局での勝利を保証するものではないんです。
大事なことは、考えに考え抜いて、大局で勝つために大事な1戦闘、1局面当たりの数的優位をいかに作り出すかということ。そのために何を捨ててどこに資源を集中させるのかを選択しなければならないということなんです。
これは何も戦争だけの話ではないんです。
100ある資源を5つに分けてしまうというようなことは、現実のビジネス世界でもよく見られます。
例えば、あなたに100の経営資源があったとしましょう。その経営資源を5つのマーケティング活動(例えば、TV、WEB、PR、Promotion、Magazine)の全てに割り振ってしまったため(20ずつ均等に配分)、すべての局面において経営資源が足りず中途半端な活動しかできず、結果全ての局面で勝てる見込みのラインを超えることができず、目的を達成させることができず負けてしまった…。これは、目的達成に向けてマーケティング担当者なんかが、あれもやっておかないと、これもやっておかないと…と不安になってしまい、あれこれ手を出しまくって、貴重な経営資源が結局中途半端にしか使われず目的未達に終わる…こういうのはよく見られます。
何に集中するのかを選び、何を捨てるのかを選ぶことで、勝利の確立を上げることができます。例えば、5つのマーケティング活動のうち、TVとWebとPRに経営資源を集中させることを選んで、MagazineやPromotionは行わない(つまり捨てる)ということを選ぶことで、TVとWebとPRは勝てる見込みのラインに届く十分な経営資源を集めることができます。
冒頭でもお話ししましたが、経営資源は常に足りていない状況なんですね。
そんな中でも目的を達成するためには、選択することで足りるようにしていくんです。
何に集中するかを選ぶ…「やることを選ぶ」ということは、同時にやらないことを選ぶということです。
これが戦略の根幹となる考え方の「選択と集中」です。
はっきりと言っておくと…
「とりあえずやれること全部やろう」なんていうのは、つまり選ばないことであり、戦略がないということです。「とりあえず全部やろう」とすることは、意味なく貴重な経営資源を分散させしまうだけです。
それが、地方のスモールプロスポーツクラブであれば、致命傷になりかねません。
「何かをやろう」としたとしても、そこに戦略がなければ突き抜けた結果なんか残せるわけがありません。
是非、肝に銘じておいてくださいね。
次回は、この話の続き「戦略的思考とその必要性」について、お話ししようかなと思います。
高知ユナイテッドも、戦略を練りに練って、入会要件を達成してください!