お客さんが「欲しいもの」と、お客さんに「必要なもの」は違う!しかし…~顧客志向と商品志向のバランスが大事~

前回、あなたがスポーツビジネスを行う上で、まず第一に考えるべきはお客さんのこと、つまり「顧客志向」が大切だ、ということをお伝えしましたね。
お客さんがいるからこそ、あなたのスポーツビジネスは成り立つ。だから、お客さんのことを第一に考えるの当然ですよね。

では、「顧客志向」が大切だ。じゃー、お客さんが求めているものを提供すれば売れるのか?といわれると、そうとは言い切れないんですね。

これは、「お客さんが欲しいものと、お客さんに必要なものは違う」ということなんですね。これは、大事です。

例えば、ボディメイクでお客さんが求めるものって何だと思いますか?
普通は、「健康的で美しい引き締まった体をつくること」だと思いますよね。でも、違うんです。お客さんが求めているのは、「楽して簡単に美しい体をつくること」なんです。 

「トレーニングしなくても健康的な体が手に入る!」
「食事制限なしで理想のボディラインを作れる!」
「たった1か月で美しいヒップが実現できる!」

こういったことが、お客さんの「求めていること」です。

もちろん、お客さん自身も、「そんな簡単にボディメイクはできないよ。しっかりトレーニングと食事制限しなきゃ」とか、「また出た。よくあるやつ。そんな都合よく理想の体なんて手に入らないよ」と言ったりはします。

でも、「トレーニングしなくても…」「食事制限なし…」「たった1か月で…」といった、「簡単にボディメイクができる!」ということを売りにした商品やサービスは、どんどん出てきているし、実際にお客さんはたくさん購入しています。これはどういうことか分かりますよね?

ボディメイクに興味をもっているお客さんにとっては、「そんなことありえない」と頭では分かっていながらも、「もし、そんな簡単に理想の体が手に入るなら…」と惹かれてしますんですね。これがお客さんの心理であり、お客さんが「求めていること」に沿ったうたい文句だから売れるんですね。

しかし、商品を売る側の人(特に専門的知識やスキルが高い人)が、「こんなうたい文句の方法はダメ!ちゃんとトレーニングもして、食事制限もして、長い時間をかけて初めて理想のボディメイクができるんだ!」といって、お客さんのボディメイクにとって「必要なこと」を提供しようとしたらどうでしょうか?

確かに、これらは「必要なこと」ではあるものの、お客さんが「求めるもの」ではない、という矛盾が出てしまいますよね。だから、商品志向が強くまじめな人ほど、「必要なこと」を、まじめにしっかりと伝えるので、お客さんの「求めること」から離れてしまい、結果、購入してもらえない、ということになります。

では、あなたのスポーツビジネスで考えたとき、お客さんにとって「必要なこと」ではなく、「欲しいもの」にフォーカスして販売したとして、成果は出るでしょうか?

もちろん成果は出ないですよね。そうなれば、購入いただいたお客さんの満足度も低くなります。お客さんと良い関係性を長く続けるためには、売りたいからといって、顧客志向に偏りすぎてもダメなんですね。現実的に、ボディメイクを実現するには、トレーニングも食事制限も時間も、ある程度は必要ですから、そういった現実や厳しい側面も、同時に伝えていくようにする必要はあります。ですので、そういったときには、あなたの専門的スキルや知識が役に立ちます。しかし、こういった現実を伝えるときは、伝え方などには注意が必要になってきます(この辺りの伝え方や、お客さんに教育をしていくやり方は、それ単体のお話として、別の機会にお伝えしたいと思っています)。

売りたいがために、お客さん受けする商品だけでは成果を出せずダメだし、質の高い商品だけで、結果、お客さんの求めるものから離れて、売れないというのもダメです。

顧客視点、商品視点の両方の目線からバランスよく、あなたのスポーツビジネスを進めていく必要があります。 あなたはどうですか?バランスよく商品を提供できていますか?是非この機会に、見直してみて下さい。もっと、お客さんにとって「欲しい」と思い、そして成果の出る商品やサービスを提供できるようになると思います。